3) CMSの活用

第3回は、CMS(コンテンツ管理システム)の活用についてです。
前回に引き続きCMSの特徴を整理し、主なCMS製品とその特徴について紹介します。最後にCMS製品を導入するにあたり、予め留意すべき点について考察します。
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CMS導入のメリットの第一は、下記のような背景から生じるコンテンツ管理の課題を解決し、サイトの管理や更新作業を簡易化し、効率化することにあります。

<背景>
Webサイト自体を自社のビジネスにとって有力なメディアと捉える企業の増加に加え、
・企業活動の拡大に伴い、加速度的に増え続けるコンテンツ
・様々な目的に応じた複数サイトの運営
<課題>
・一定予算内でコンテンツの性格に応じた更新頻度の維持
・Webサイトの品質(コンテンツの質/リンクの正確さ/デザインの統一など)の保持
・管理すべき膨大なコンテンツ全体の把握・管理
・更新コンテンツに対する作成から承認までのワークフローの円滑化

CMSを導入した場合、テキストや画像、レイアウトなどのコンテンツ情報はすべてデータベースに保存されることから、コンテンツの管理が容易になります。作業はすべてWebブラウザから行う事ができ、複数の部署や複数のスタッフによる同時並列作業に適しています。また、CMSはWebページの更新をリンクの正確さやデザインの統一性を保ちながら半自動化しますので、Webサイト更新時の管理コストの低減化と更新速度の向上が期待されます。

CMSを導入する事によって、制作者はデザインの調整などの付加的な作業に煩わされる手間を大幅に軽減でき、Webサイト制作上、一番重要なコンテンツ自体の検討に注力できるようになります。

CMS導入サイトの特徴

CMSをベースとするWebサイトは、従来型Webサイトと比較して下記の特徴を有します。

 従来型のWebサイトCMS導入Webサイト
導入時 コンテンツのボリュームに比例する制作費用が発生。 CMS機能活用により制作コスト低減が可能。
CMSの設定や機能のカスタマイズが必要。
更新時 コンテンツの更新量に応じた個別の運用費用が発生。
Web専門知識を有するページ作成者に作業が集中。
CMS機能活用により保守運用作業を定型化でき、費用の大幅な軽減が可能。
Web制作上の専門知識が不要なため、容易なサイトの更新が可能。
コンテンツ管理 Web管理者がサイトのコンテンツの中身や制作者/責任者などの情報、サイト全体の構造等をすべて把握する必要がある。 コンテンツの内容、制作者/責任者などの情報やサイト構造等をデータベースに保存、一元管理。
これにより、情報の更新を速やかにサイトに反映させる事が出来る。また、同一コンテンツをさまざまな箇所で利用する事も可能になる(例えばPC表示用のページと携帯表示用のページが、同一のテキストや画像でテンプレートを変えるだけで作成出来る等)。
デザイン統一 手作業でページを作成するため、多人数で制作する時は統一が取りにくい。
逆にページ毎にデザインやレイアウトが異なる場合は、従来型のWebサイトの方が適している。
テンプレート(雛形)にそってページが自動生成、デザインが画一化される。
テンプレートの作成やカスタマイズには、CMS製品によって異なるが、固有の専門知識が必要になることが多い。
制作の自由度 デザイン面/設計面で希望通りのサイトを自由に制作する事が可能。 デザイン面/設計面で、各CMS製品特有の制約の中で制作する必要がある。
主なCMS製品とその特徴

現在提供されている主なCMS製品とその特徴を下記の表に示します。

多くのベンダーから多種多様なCMS製品が提供され、各々の製品から得られるメリットの種類や性能が異なります。

最近では、会員情報との連携によるパーソナライズ/リコメンド(*1)用のページの制作、また、EC(電子商取引:Electric Commerce)システム等と連携し、CMS単体ではなくシステム全体の一要素としてCMSを位置づける動きが顕著になっています。

※製品名でABC順

製品名販売元特徴
ALAYA5彼方オプションの利用やカスタマイズにより、様々なWebサイトや各種業務フローに柔軟に対応するCMSの一つ。JIS規格に準拠したアクセシビリティの実現や、権限に基づく作業およびその履歴保存が可能。LDAP対応など、大規模活用も可能。
DBPSパナソニック ネットワークサービシズワープロ感覚でWebページの情報更新を可能とする特徴を持つCMS。組織に応じた業務フローが設定でき、オプションで改ざんリカバリー機能、RSS出力機能、また携帯端末マルチキャリア対応機能などを追加する事が出来る。
Moodle(オープンソース)教育管理に特化したCMSであり、e-learningサイト等を容易に制作出来る。
Movable TypeSix Apartブログを基本とするCMSであり、多様な機能と柔軟性を持ち、サーバー組込型のブログツールの中では、高いシェアを持つ。
サイトを制作するには、固有技術知識・経験が必要。
ビジネス活用場面で要求される、サイト公開までのワークフロー機能は持たない。また、サイトのページ毎に異なるアクセス制限を設定する事は出来ない等の制約がある。
NOREN4アシスト「使いやすさ」を重視し、企業における複雑な業務フローや大規模サイトにも活用できる柔軟性・スケーラビリティを備える。
ブラウザ利用による承認機能を持つ。
一方、コンテンツ・ライフサイクルの運用プロセスを最適化し、Web管理者の負担を軽減する機能を特徴とする。
osCommerce(オープンソース)電子商取引システム制作・運用に特化したCMS。
オンライン・ショップに必要な機能がパッケージ化されているため、短期間・低コストでオンライン・ショッピング・システムを制作・運用管理することが出来る。
XOOPS(オープンソース)PHPで開発されたコミュニティサイト制作に適したCMSの1つ。標準機能で会員制機能を有するサイトを制作出来る。
ショッピングサイトやBlog等は、様々な機能モジュールを追加する事で実現できる。
使いこなすには、PHPやXOOPSの固有知識・技術が要求される。
Wiki(オープンソース)複数の開発者が共同でWebサイトを制作していく利用法を想定したCMS。サイト閲覧者が情報を書き込む事も、他の人が作成した情報に上書きする事も出来る。
レイアウトには、独自のテキスト整形ルールに従う。
Zope(オープンソース)汎用的なWebサイトを制作でき、Webサーバーの機能も兼ね備えている。
Pythonで開発されているため、カスタマイズにはこの固有知識・技術が要求される。
Webサイトの制作費用とコンテンツ作成・更新のボリュームとの関係を下記の図に示します。

CMS費用とボリュームの関係

CMSの導入

以上の観点からCMS導入に際し、まず、Webサイトの運用目的、構成内容、更新頻度等の観点から要件定義する事が重要です。特に、サイト構築からその後の定常的に発生する保守運用時点の各段階での要件を整理し、平行して各種CMS製品についても事前に調査・理解しておく事が必要です。

次に、各段階での要件を満足するCMSの選定を行います。選定したCMS導入を前提としたシステムの仕様を検討し、最終的にCMS導入のメリットを算定・定量化します。
ここで、選定したCMS製品が必要要件を満たされなければ、CMSと独自に開発するシステムとを連携させた機能設計を行います。この場合は、CMSのバージョンアップ等に対応する事を念頭に置きながら、これに影響のない範囲で拡張機能の設計を行なう必要があります。

導入後のCMS製品変更は困難なため、サイトを企画する段階で適切な製品を見極め、これを評価する事が重要となります。

※1 リコメンド(リコメンデーション)
電子商店などで、ユーザの好みを分析し、各ユーザごとに興味のありそうな情報を選択して表示するサービスのこと。Webサイトで顧客層ごとに異なるトップメニューを用意することもリコメンデーションサービスの一種。ユーザにとって、自分の欲しい情報に素早くアクセスできる可能性が高まる一方、提供企業にとっては顧客の商品購買率を高められるなど、双方にメリットが大きいサービスとして急速に普及している。
IT用語辞典 e-Wordsより引用


主な参考資料:

  • Think IT 「最新CMS導入ガイド」
  • キーマンズネット 「Webコンテンツマネジメントシステム」
  • 秀和システム 「Xoopsによるポータルサイト構築」
  • インプレス 「Web Master 完全ガイド」Vol.02
  • アスキー 「インターネット販売活!」Vol.01
関連キーワード
CMS,コンテンツ管理,XOOPS,Movable Type

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