8) オープンソース導入事例1

第8回は、オープンソースの技術を活用した導入事例をご紹介します。
インターネットリサーチ・コンサルティング・企画、ウェブ翻訳から、Web制作、システム開発までオープンソース・ネットワークビジネスを提供

 1990年代後半より世の中に先駆けて,オープンソースに関する基本評価・試行運用を重ね,実用化を図ってきました。この様な状況の下,旧川崎製鉄・旧日本鋼管とのJFEへの統合により,JFEグループ企業の一つである当社は,グループ企業3社合併を前提とする統合ネットワークを構築する事となりました。そこで,これまでの試行評価・運用実績をベースに,図8.1.に示す統合網での新たなLinuxベースでのサーバー群の構築を開始しました。

 まず,各種サーバーのユーザー管理やプリンター等ネットワーク上の共有資源管理を行うためのディレクトリー・サービスであるLDAP(Lightweight Directory Access Protocol),また,client PCのIPアドレス等,ネットワーク接続への必要情報を自動的に割り当てるためのDHCPの設置により,システム管理コストの低減を図ります。また,ネットワーク・アクセスを一元管理し,特定の接続のみを許可,或いは不正なアクセスを遮断するアプライアンスを設置し,このサービスによりインターネット接続の他,IP-VPN上での拠点間client同士の通信代行としての通信サービスを実現します。一方,標準時を提供するNTPサービスの提供,等の基盤サービス・サーバー群を構成しました。

統合網サーバー構成
図8.1.統合網サーバー構成

 また,イントラネット情報共有のための「smb,ftp」ファイルサーバ,独自アプリケーション・サービスのための各種サーバー群を開発・設置しました。
 一方,インターネットに向けたサービスを行うためには,Firewallの設置と共にDMZ(De-Militarized Zone)と呼ばれる論理的にイントラネットと遮断されたネットワーク領域を確保する必要があります。ここにWebサーバー,メールサーバー,そして,ホスト名解決を行うDNSサーバーを設置します。

 設計上,まず第一に考慮すべきはセキュリティー設計であり,社外へのインターネット・サービスと社内向イントラネット・サービスとに切り分けて設計します。
 インターネット向けサーバーとして構築するWebserver, DNS server, mail serverは,セキュリティー修正プログラムのサービスが付属し,導入コスト,及び,運用コストの低減を図る観点から,商用ディストリビューターのTurbo Linux,及び、Red Hat Linux を選定する事としました
 一方,社内向けサーバーは,クラッカー等の危険に曝される可能性は低いと考え,導入・運用コスト最小化の観点から,非商用ディストリビューターのVine LinuxやKondara MNU/Linux等の選択肢もありますが,図1.1.(第1回参照)に示す市場占有率も参考に,Red Hat Linuxを選定する事としました。その選定理由として,一般に公開される技術情報量の多さ,サポートサービスやベンダーの多さ,またクォリティー等を考慮し,開発・保守・運用の場面での選択肢を広げるディストリビューションである事,等々を判断基準としています。

 次回は、オープンソース導入事例の2回目として、サーバー群の構築について取り上げます。

  1. Turbo linux. “support & service”. (online), available from <http://www.turbolinux.co.jp/support/>, (accessed 2003-12-29).
  2. RedHat Enterprise Linuxの選択肢等々もある。
  3. テンアートニ. “Red Hat Linux update service”. (online), available from <http://www.10art-ni.co.jp/service/rh_update>, (accessed 2003-12-29).
関連キーワード
オープンソース,ディレクトリーサービス,LDAP,DHCP,Proxy,IP-VPN,NTP,Firewall,DMZ,セキュリティー管理