5) IPアドレスの種類について

5回目は、IPアドレスのスコープ (通信可能な範囲) と、特殊用途のIPアドレスについて解説します。
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スコープ

 IPアドレスはそれぞれにスコープ (通信可能な範囲) が決められており、グローバルIPアドレス、プライベートIPアドレス、リンクローカルアドレスの3種類があります。

・グローバルIPアドレス

 インターネット接続用に利用される、重複しないことが保証されたIPアドレスをグローバルIPアドレスといい、ICANN (*1) を頂点とした階層的な委譲関係によって世界規模での一元管理が行われています。

 そこでインターネットに接続するには、然るべき機関から正式にグローバルIPアドレスを取得しなければなりません (*2)。

(*1) ICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers):インターネットのIPアドレスやドメイン名などの各種資源を全世界的に調整・管理することを目的として、1998年に設立された民間の非営利法人。
(*2) 日本国内ではJPNIC (Japan Network Information Center) が実際のIPアドレス割り当て作業/管理を行っている。現在の日本国内のインターネット環境では、JPNICがISP(インターネットサービスプロバイダー)に対してIPアドレスを割り当てておき、ユーザーは、そのプロバイダーに割り当てられたIPアドレスの一部を使う運用形態になっています。
・プライベートIPアドレス

 グローバルIPアドレスは、取得手続きや、取得・維持費用が発生するものである一方、自由に利用可能なIPアドレスが予め用意されており、それをプライベートIPアドレスといいます。

 プライベートIPアドレスは、プライベートネットワーク (外部から利用できない社内LAN、家庭内LANなど) のアドレスとして使うことができ、ルーティング (経路制御) により、インターネットや異なるプライベートネットワークと相互接続・通信することができます。

 プライベートIPアドレスはクラスA~Cとそれぞれ下記の通り定義されています。一般的に、クラスCのプライベートIPアドレスが多く用いられています。

クラスプライベートIPアドレスの範囲
クラスA10.0.0.0~10.255.255.255
クラスB172.16.0.0~172.31.255.255
クラスC192.168.0.0~192.168.255.255


 プライベートIPアドレスは直接インターネットに接続できませんが、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換するNAT技術 (*3) の活用により、企業内ネットワークなどで広く用いる事ができるようになります。

(*3) NAT、NATP (IPマスカレード) のようなネットワークアドレス変換技術により、私設LAN上のプライベートIPアドレスとインターネット上のグローバルIPアドレスを相互変換でき、そのプライベートIPアドレスを割り当てられた機器や端末がインターネットに接続できるため、グローバルIPアドレスを多量に消費することなくインターネットに接続できる機器を増やすことができます。  また、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの相互変換上、グローバル空間からプライベート空間への接続パケットを拒否することができるため、簡易的なファイアウォールの一種として使用できます。
・リンクローカルアドレス

 Windows OSベースのネットワーク通信では、IPアドレスの設定がなく、且つ、DHCPサーバーも見つからない場合には、APIPA (*4) 機能により自動的に 169.254 で始まるクラスBのIPアドレス (169.254.0.0~169.254.255.255) をランダムに通信端末上に割り当てます。

 このIPアドレスをリンクローカルアドレスといい、単一のLAN内での通信に使うことができますが、プライベートIPアドレスと違い、ルーティング (経路制御) できず、他ネットワークとは通信する事ができません。また、リンクローカルアドレスはプライベートIPアドレスと同様、直接インターネットに接続する事もできません。

(*4) APIPA (Automatic Private IP Addressing) とは、ネットワーク機器でIPアドレスを自動的に割り当てる機能です。APIPAはマイクロソフト社の用語であり、APIPAに対応するアップル社の用語はZeroconfです。
特殊用途IPアドレス

 IPアドレスの中には、通信機器・通信デバイスへの割り当てを行なわないネットワークアドレス、ブロードキャストアドレス、ローカルループバックアドレスから成る特殊なIPアドレスが存在します。

・ネットワークアドレス

 ネットワーク自体を示すアドレスをネットワークアドレスといい、そのネットワーク範囲内で最小のIPアドレスを指します。例えばネットワークが 192.168.100.0/24 (192.168.100.0~192.168.100.255) の場合、192.168.100.0 がネットワークアドレスになります。

 ネットワークアドレスは、本来ネットワーク構成図やサーバソフトウェア設定などにおける表記上の約束事にすぎません。実際には使えない事はありませんが、動作が保証されていませんので、実際の運用での使用は避けた方が無難です。

・ブロードキャストアドレス

 ネットワーク内にある全てのコンピューターに対して通信を行うための特殊なアドレスをブロードキャストアドレスといい、そのネットワーク範囲内で最大のIPアドレスを指します。例えばネットワークが192.168.100.0/24 (192.168.100.0~192.168.100.255) の場合、192.168.100.255がブロードキャストアドレスになります。

 なお、ブロードキャストアドレスと前述のネットワークアドレスは、機器・デバイスに割り当てる事が不可であるため、割り当て可能なIPアドレスの個数は、ネットワーク中のIPアドレスの個数から2を引いた値となります。
 例えばネットワークが192.168.100.0/24 (192.168.100.0~192.168.100.255) の場合、使用可能なIPアドレスは256-2=254個です。

・ローカルループバックアドレス

 その機器自身を表すIPアドレスのことをローカルループバックアドレスといい、127.0.0.0/8 (127.0.0.0~127.255.255.255) が該当します。

 通常127.0.0.1が使用されます。

まとめ

 以上、グローバルIPアドレス、プライベートIPアドレス、リンクローカルアドレスについて、下記に整理します。

通信可能範囲該当IPアドレス主な用途
他プライベートネットワークと直接通信インターネットと直接通信
グローバル
IPアドレス
×下記以外インターネット接続用。
プライベート
IPアドレス
×10.0.0.0~10.255.255.255
172.16.0.0~172.31.255.255
192.168.0.0~192.168.255.255
社内LAN、私設LANなどの、外部から利用できないネットワーク。
リンクローカル
アドレス
××169.254.0.0~169.254.255.255IPアドレス割り当て失敗時に自動で割り当てられるIPアドレス。


 機器・デバイスに割り当てる事を禁止する特殊用途のIPアドレスについて、下記にまとめます。

IPアドレス範囲主な用途
ネットワークアドレスネットワーク範囲内の最小IPアドレスネットワーク自体を示すアドレス。
ブロードキャストアドレスネットワーク範囲内の最大IPアドレスネットワーク内にある全てのコンピューターに対して通信を行うためのアドレス。
ローカルループバックアドレス127.0.0.0~127.255.255.255その機器自身を表すIPアドレス。


次回は、通信の際、通信先ネットワーク毎に使用するゲートウェイを自動振り分けするための「スタティックルーティング設定」についてです。

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