10) ダイナミックルーティングについて

 第10回は、「ダイナミックルーティング (動的なルーティング情報変更)」についてです。ダイナミックルーティングとは、ネットワーク回線に障害が発生した時、最新の状況で一番近い経路を選択するようにルーティングテーブルを自動更新し、ルーティングテーブル管理負荷軽減を手助けする仕組みです。
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ダイナミックルーティングについて

 ルーター等のネットワーク経路制御機能を持つ機器 (以下、ルーターと表記します) は、ネットワーク上の様々な宛先に対する経路が記録されているルーティングテーブルを保持しています。
 情報送信する際のネットワーク上での経路を見つけだす手法には、ルーティングテーブルを手動管理する「スタティックルーティング」と、経路の状態や隣接ルーターのルーティングテーブルの情報を元にルーティングテーブルを自動構成する「ダイナミックルーティング」の2種類があります。

 ダイナミックルーティングは、後述のルーティングプロトコルを利用して隣接するルーター同士でルーティングテーブルを交換し、この情報を元にルーティングテーブルを自動構成し、相互に最新のルーティングテーブルを保持し、通信先への経路が使用できない場合は、後述の経路決定アルゴリズムによって別の経路が導き出されます。

 以上の機能により、ダイナミックルーティングはネットワークの障害や変更に応じて適切なネットワーク経路を決定し、ルーティングテーブルを自動更新し、また、学習するため、ルーティングテーブルの手動設定は不要となります。

ルーティングプロトコルについて

 ルーティングプロトコルとは、ネットワーク間で経路情報を交換するためのプロトコルです。
ダイナミックルーティングは、ルーティングプロトコルを使用して隣接ルーターとルーティングテーブルを交換し、自動更新する技術です。
ルーティングプロトコルは、様々な種類がありますが、他のAS (*1) に対するルーターの相対的な位置によって、主にIGPs (*2) とEGPs (*3) に大別できます。
 ルーティングプロトコルの種類には RIP (Routing Information Protocol)、OSPF (Open Shortest Path First)、BGP (Border Gateway Protocol) などがあり、要件に応じて使い分けます。

(*1) AS (Autonomous System: 自律システム) とは、ひとつ (複数の場合もある) のルーティングポリシー配下にあるIPネットワークやルーターの集合を意味します。

(*2) IGPs (Interior Gateway Protocols) は、単一のAS内で用いられるルーティングプロトコルの総称です。

(*3) EGPs (Exterior Gateway Protocols) は、異なるAS間のルーティングプロトコルの総称です。
経路決定アルゴリズムについて

 ダイナミックルーティングは、通信先への経路が使用不可の場合、経路決定アルゴリズムにより別の経路が決定されます。
 経路決定アルゴリズムにはDVA (Distance Vector Algorithm:距離ベクトルアルゴリズム) とLSA (Link State Algorithm:リンク状態アルゴリズム) があり、いずれか一方が用いられます。

 DVAは、Bellman-Fordアルゴリズム (最短経路を解くためのアルゴリズムの1つ) を用いており、目的地までのコストの総和が最小となる経路を選択する方式です。
 コストは各ルーター間に設定されており、ルーティングプロトコルの種類により、ホップ数 (経由するルーターの数) であったり、回線速度を数値化したものであったりします。
 また、コストはルーティングテーブルと同様 (またはルーティングテーブルに含まれる形式で)、ルーティングプロトコルにより他のルーターに伝播します。

 一方、LSAは、個々のルーターが独立してネットワークのマップを作成し、自ら生成したマップを元に目的地までの最短経路を決定する方式です。
 マップ生成のため、全てのルーターが「自分が接続しているルーター」の情報をネットワーク全体にブロードキャストし、各ルーターはその情報を元にマップを作成します。
 LSAの最短経路の計算にはダイクストラのアルゴリズム (最短経路を解くためのアルゴリズムの1つ) が用いられています。

各ルーティング手法の特徴

 ルーティング手法にはダイナミックルーティングとスタティックルーティングがありますが、ネットワークの規模や要件などに応じ、いずれかの手法を選択または組み合わせて使用します。

各ルーティング手法の特徴は以下の通りです。

1. ダイナミックルーティング
  • 導入時、構成や設定に高度な技術が要求される。
  • ネットワークの障害や変更に応じて自動更新されるため、ルーティングテーブル管理負荷が小さい。
  • ルーティングプロトコルを使用し、ルーティングテーブルを随時更新するため、ルーターのCPU負荷およびネットワーク負荷が、スタティックルーティングに比べて大きい。
  • 間違った経路情報も他のルーターに自動伝播する。
2. スタティックルーティング
  • 導入時、高度な技術は必要としない。
  • ルーティングテーブルが手動管理のため、確実にセキュリティーを保つことができる。
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